超音波は聞こえる?骨で音を聞く

 若くて健康な人 間に聞こえる音の周波数の上限は、20キロヘルツ程度であるといわれている。日常耳にする機会のある音で、高い音といえば、テレビのブラウン管についてい るトランスの音であろう。この音の周波数は、テレビの走査線を水平に動かすための周波数である15.75キロヘルツである。ただ、聞こえる上限の周波数 は、個人差が大きく、この音が聞こえない人も珍しくない。

  では、上限を超えた周波数の音は聞こえないのだろうか。実は、条件を工夫すれば、20キロヘルツ以上の周波数の超音波でも、聞くことが可能である。どのよ うな工夫かというと、音を空気を介さずに、振動子を額や耳の後ろの骨に接触させて直接骨に導くのである。すると、振動は骨に伝わり内耳に達して、音が聞こ える。

  これは、骨導とか骨伝導などと呼ばれ、難聴の検査などにも用いられている。超音波振動子を用いて、骨伝導難取をおこなうと、20キロヘルツをはるかに超え た周波数の音でも明瞭に聞き取ることが可能であるという研究報告がいくつかあり、80キロヘルツや100キロヘルツの音でも聞き取れたという報告もある。 ただし、このときの音の強さを空気を伝わってくる音に換算すると、140デシベルというような、きわめて強いものであった。

  ある研究によると、聴取の上限の周波数は、内耳よりはむしろ中耳の伝達特性が十数キロヘルツから20キロヘルツ以上の周波数で急激に減衰することが可能で あるという。

  したがって、空気を伝わってくる音でも、きわめて強ければ、おそらく聞き取ることが可能であろう。実際、超音波振動子の研究者によると、振動子のある部屋 に入るときに、入り口で超音波の「雰囲気」を感じることができるという。

  自然界の音や音楽なども、20キロヘルツを超える成分が含まれている。通常はそのような成分はごくわずかであるが、打楽器のようにパルス性の音をふんだん に含んだ音楽では、かなりの成分を含むという。そして、そのような超音波成分が、音楽を聴いたりする際に、脳波のアルファ波を増加させ、快適感を与えると いう研究報告もある。

日本音響学会編著 音のなんでも小事典 (講談社ブルーバックス)より転載

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