Q and A (202)

Q: シンセサイザはどんな音でも作れるのですか?
A: シンセサイザは多彩な音を表現することができる魅力的な楽器ですが,一口にシンセサイザと言ってもその音作りの仕組みは多種多様で,それぞれに“作りやすい音”と“どうしても作れない音”があります。ここでは,減算合成方式と呼ばれる最もポピュラな音作りの仕組みについてお話しましょう。
  減算合成方式では,音響信号を発信するオシレータ,オシレータで生成された音響信号の倍音成分をカットするフィルタ,そして音の出力レベルを制御するアンプの三つのモジュールを基本的な構成要素としており,各モジュールの時間的な動作特性をエンベロープ・ジェネレータや LFO (Low Frequency Oscillator) で制御することによって音を作る仕組みになっています(図-1参照)。つまり,オシレータで生成された音響信号の倍音成分をフィルタで加工して目的の音を形成するという非常にシンプルな仕組みです。この方法は,音作りの操作が直感的で容易である反面,元の音響信号に含まれない倍音成分を付与することはできません。特にアナログ電子回路素子によるオシレータは,基本的には整数倍音のみで構成される正弦波や鋸歯状波,パルス波などを発信するため,例えばカンカン・キンキンといった非整数倍を豊富に含んだ金属的で煌びやかな音を作るのは不得手と言えるでしょう。 ただし,近年ではアナログ・オシレータの代わりとして,楽器をはじめとする様々な音をサンプリングした PCM 音源や,音の発生機構を物理的にシミュレートする物理モデル音源などが登場し,これらをオシレータに用いることによって実に多彩な音作りが可能となっています。
  ところで,学研の大人の科学マガジン・シリーズ別冊“シンセサイザークロニクル”には,非常にシンプルな構造の減算合成方式シンセサイザが付録で付いてきます。筆者も試してみましたが,楽しみながらシンセサイザの基本的な仕組みを理解できる大変良い教材と感心しました。皆さんもシンセサイザの魅力に触れてみてはいかがでしょうか?
  参考 URL:http://otonanokagaku.net/magazine/sx150/index.html


図-1 減算合成方式シンセサイザの基本回路図

江村 伯夫 (金沢工大)

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